ジンにまつわる怖い絵画【ジン横丁とビール街】

今回はウィリアム・ホガースが描いた絵画にまつわ本当にあったジンの怖い話を紹介していきます。

ジンは利尿作用のあるジュニパーベリー加えた薬用酒として飲まれていましたが、メタノールが多く含まれる安価で粗悪なジンが出回っていた時代がありました。この作品は安価で簡単に酔える粗悪なジンが下層階級に広がり大きな社会問題になっていたため、それを改善する目的で作られた作品だそうです。

実は、この時代、1736年イギリスでは、なんと「ジン取締法」が制定されました。それはジンの大量の飲用による死亡率の上昇や風紀の乱れなどが問題になり、1ガロン20シリングの税をかけ、小売商に毎年更新の50ポンドの許可料を課した法律です。しかし実際にこの法律の効果はほとんどなかったと言われています。

これだけ、ジンが問題視された時代があると、ジンが怖いように思われますが、現在のジンを含む蒸留酒にはメタノールは含まれておらず、丁寧なお酒造りをしていることが、ほとんどでありますから、安心してください。

<ジン横丁とビール街>

左:ビール街、右:ジン横丁

この2枚の絵は1751年にジン取締法を支持するイギリスの芸術家ウィリアム・ホガースが描いたものになります。これらは2枚の絵を一緒に観るように設計されており、ビールを飲むことのメリットと対照的にジン消費を悪とした描写で描かれています。

ビール街は産業、健康、大当たり、そして繁栄している商取引を示しており、ジン横丁は逆に子殺し、飢餓、売春、衰退、自殺など様々な残酷シーンを描いています。

<狂気のジン時代>

当時の安価で粗悪なジンはメタノールはもちろんテレビン油と言って木の樹液を蒸留して得られる精油を混ぜて作られたものが出回っていたそうです。メタノールは主に塗料やホルマリン、溶剤などで使われているアルコール。テレビン油は油絵の薄め液や塗料の溶剤などとして利用される油。

こうした安価なジンが出回り、それを飲む人々が問題を起こすことでジン取締法が制定され高い課税がされるも、密輸や密造酒などの裏取引の普及につながってしまい、効果的な法律にはならなかったそうです。

<ジン横丁

赤ん坊が落ちていることに気づかず、タバコをとる売春婦の母親

ジン横丁の絵の中心に描かれている残酷なシーンはジン横丁に住む母親がタバコをつまむことに気を取られ、子供を腕から落としていることに気づいていない様子が描かれています。またこの母親の足は梅毒の症状が出ており、そこから売春婦であったことが読み取れます。

軍服を着る男とパンフレットと黒い犬

先ほどの女性の斜め下に描かれている軍服を着た男性は元軍人です。強固であった軍人ですら、粗悪なお酒は人をダメにする様ですが、この男性の持っているカゴから1枚のパンフレットが飛び出ています。

このパンフレットはジンを非難する言葉が描かれています。
次に隣にいる黒い犬ですが、イギリスでは当時、黒い犬は「絶望と鬱病の象徴である」とされていました。

これらの説明を書いている筆者も、なんだかジンが怖くなってきましたが、あくまで昔の粗悪なジンであり、今はこの絵のようなことにはならないです!それを心に保ちながら、本時期を書いていきます。途中で、これをつぶやかないとジンがとにかく悪者になってしまいます。。。

質屋にモノを売る人

絵の上の方に矢印と3つの丸い形をしたものは、金貸し業をしていたメディチ家のマークが基にされた質屋の看板です。
ノコギリやヤカン、鍋などの生活品を元手にお金と交換してジンを購入するのでしょう。
生活よりもお酒を取るようになったら、ジンだけでなく、アルコールは控えましょう。そうならないように、やはりお酒はほどほどに。。。
と言いたいところですが、飲むと飲まれてしまうのもお酒なんですよねw

この絵は細部までしっかり描かれています。質屋の後方に目を向けると、女性の遺体が棺桶へ入れられ、その隣で赤ん坊が泣いている。
こんなシーンも当時は日常にあったと思うと恐ろしいです。

分かりにくいですが、この絵には蒸留所が描かれています。その名も「KILMAN DISRILLER」日本語に直訳すると人殺し蒸留所。
怖い。怖すぎる。まさしく当時のジンは悪魔の力を持った酒だったようです。

「KILMAN DISRILLER」の店の前

「KILMAN DISRILLER」のお店の前では、赤ちゃん、人にジンを無理やり飲ませる様子や暴動が起こっています。
とにかく悲劇に次ぐ悲劇でしかない絵です。

残忍で狂ったオジサン

右手に槍のようなものを持ち、その槍には子供が突き刺さっています。
狂気のオジサンの横から母親らしき人物が身を乗り出して叫んでいるような表情があります。
とにかく狂った世界が描かれています。実際にこのシーンがあったかどうかは分かりませんが、ウィリアム・ホガースは貧しい家庭で生まれ育ち、後世に道徳とは何かを作風にした風刺画を描いたこともあり、この時代のウィリアム・ホガースの身の回りには似たような場面があったのかもしれません。
ちなみにウィリアム・ホーガスはフリーメイソン加入のメンバーだそうです。

<ビール街>

ビール街1751年・ウィリアム・ホーガス

こちらはジン横丁とは対照的にイキイキと英国産ビールを飲む町の人たちが描かれています。

この中で注目すべき点は2点あります。

傾いた質屋の看板

1つ目は傾いた質屋の看板です。
ジン横丁ではこの看板の下で質屋にモノを運びに来る人々がいましたが、こちらは裕福な暮らしで質屋が流行っていないことを示しています。
また、ビール街ではビールを飲んでいる人々以外にも後ろの建造物で働いている人の姿なども描かれており、本当に対照的です。

ペインターと呼ばれる絵師

ビール街で最も注目されているところですが、この絵師が描いているのがジンだそうです。
彼はジンを宣伝する看板を描いている。彼はジン横丁の移住者の可能性がある。ビール横丁の人々の精神の拒絶を反映している可能性がる。などと言われています。
ジン横丁とビール街は隣り合わせであり、ビール街の人々はジン横丁の現状を無視しているため、このペインターがジンの宣伝の絵を描いても誰も見上げず、無視する描写だそうです。
なんだか複雑なジンとビールの関係ですが、英国でジンが一度衰退していった理由やビールが流行った理由がなんとなく絵で理解できます。

<まとめ>

今回はジンにまつわる怖い絵の話をしました。昔のジンに限らず粗悪なアルコールを飲むと頭がガンガンしたり、吐き気を催したりしますよね。
筆者はスト○ング缶などは、どうしても悪酔いしてしまい、頭もすぐに痛くなるので飲んでいません。
本記事を読んでいると、なんだかジンが飲みたくなくなってきてしまいますが、何度も言うように現在は塗料で使うメチルアルコールなどは入っていないので、美味しいジンを飲み過ぎないように楽しく安心して飲んでください。

以前、投稿した「二日酔いになりやすいお酒、なりにくいお」で紹介していますように、醸造酒より蒸留酒の方が添加物が少なく、特にウォッカやジンは純度の高いピュアなアルコールに近いお酒のため、アルコールの分解が早く、二日酔いにもなりにくいお酒と言われています。

この絵が語るように、お酒は飲み過ぎれば地獄行きであり、適度に飲めば幸せを感じられます。

あなたは20歳以上ですか? 本サイトはアルコール関連のページあり、20歳以上の方を対象としています。