
オークと言えばワインの樽やウイスキーの樽でお酒の熟成に使われるドングリの木の一種です。アメリカンオークやフレンチオークなどがアメリカのバーボンやスコッチウイスキーで使われますが、サントリーやイチローズモルトが日本のミズナラ樽を使用したウイスキーを世界に広げたことから、ブランド材として日本のミズナラが世界に認知されはじめました。
今回は日本のミズナラの魅力や生態系がかかえる問題など様々な視点から見ていきたいと思います。
名称 | 和名:ミズナラ(水楢) |
別名:オオナラ | |
英名:Japanese Oak | |
分類 | ブナ科コナラ属 |
分布 | 北海道~九州 |
香り | 樹齢が長くなるほどキャラメルやバニラのような芳醇な香りになります。 |
主な用途 | 熟成樽、家具、床材、薪材など |

特徴
ミズナラと聞くとあまり一般的には知られていない木ですが、ナラという木は簡単に言いますと「どんぐりの木」になります。ミズナラの木は近年、ウイスキーのブランド樽材として、この木で熟成したウイスキーは美味しいという評価を受け、お酒業界では知られています。
ミズナラは樹齢1,000年以上にもなる個体を発見されるほど長寿な木であり、どんぐりは野生の動物の大切な食糧であり、炭や薪材、シイタケ栽培の原木をはじめ、天然のマイタケやナメコ、トリュフなどもナラの木に生えるため、人と自然界に大きな役割を担う木です。
その香りは樹齢が経つほどにキャラメルやバニラのような芳醇な香りを漂わせ、白檀の香りに似ていると唱える人もいます。
ミズナラは名前に「水」が付くように貯水能力が高く、森の生態系や土壌に大きな役割をしています。また、日本のナラの種類は16種類⧺近種2種類の18種類が存在しているそうですが、イギリスは大まかにオオナラとコナラの2種類のため、これを比較すると島国特有の日本の森林資源の豊かさや多様性が優れていることが分かります。
ロシアなどにもミズナラは分布していますが、世界のお酒に使われる樽材としては、日本の土地で育ったものが評価されていて香りも素材の質も違うそうです。
そんなミズナラは現在「終わらない日本のナラ枯れ」と称して、希少な木で手に入らない素材として木材業界ではどんどん高値を付けています。こうした問題についていくつか文献や論文を分かりやすく説明します。

日本のミズナラが抱える問題
近年、カシノナガキクイムシ(カシナガ)が媒介するナラ菌により、ミズナラ等が集団的に枯損する「ナラ枯れ」が発生しています。
令和3年度の全国のナラ枯れ被害量は、前年度比79%の約15.3万立方メートルとなりました。(林野庁参照)

簡単にこれらを説明しますと、カシノナガキクイムシという虫が卵をナラに産むために巣をつくり、その時に病原菌であるナラ菌を持ち込み、これが原因で枯れてしまうということです。
なぜ近年、このようなことが起きているのか。ナラ枯れについては江戸時代などの書物にも記載がありますが、周期的に起こるそうです。しかしながら、これはあくまで周期的なもので、終わりを迎えるそうですが、近年の日本のナラ枯れはその終息が無く、枯れ続けているそうです。
林業をせずに放置林が増えたため、カシノナガキクイムシの住みやすい環境になった、地球温暖化のせいで生態系が変化しているなどの説が色々とありますが、原因は定かではありません。
このナラ枯れを食い止めるために、林野庁を含めて様々な取り組みをしていますが、ここで面白い記事を見つけました。「森に炭を撒いて蘇らせる」(別リンクへ飛びます)この記事は佐渡で行われている実験的なものですが、簡単に言いますと、ナラ枯れの原因は土にあるそうで、土の酸性が強いため、これをアルカリ性にすることで、ナラ枯れを食い止めるそうです。実験は成功を見せていて、林野庁などの他の自治体が行っている接着剤や栄養剤を木に施すという科学的なやり方よりもより自然に近い簡単な方法だと考えています。
ROKUMOJIでも今後はボタニカルや樽材としてミズナラを使用する予定がありますが、新潟県を中心にこうした実験を繰り返し研究を重ね、日本のナラの魅力を伝えていきたいと考えています。

まとめ
今回は日本のジャパニーズオークことミズナラについて、お伝えしましたがいかがでしたでしょうか?ミズナラは様々な意味で現在は希少性がありますが、その希少性や需要に比例するかのように大きな問題をかかえる木でもあります。
薪材や炭、キノコなどの食住、そして酒の樽など人と密接な関係を持ち、ドングリは野生の動物にとって大切な食糧かつミズナラの持つ貯水能力など生態系にとっても非常に重要な木になります。
是非、お酒が好きな方にはミズナラという木を知って、お酒ライフをより楽しんでいただけましたら幸いです。
ROKUMOJIでもミズナラを使ったお酒を販売する予定ですので、その時は是非、この記事と共に美味しく飲んでミズナラの魅力を感じていただけましたら幸いです。
ミズナラを使ったROKUMOJI

ROKUMOJI Green Planet GIN
メインボタニカル:樹齢300年ミズナラ
サブボタニカル:ヤマブドウレーズン、ジュニパーベリー
アルコール度数:43%
容量:700ml
日本のナラ枯れをテーマにミズナラの魅力を世界に伝える濃厚で芳醇なとろけるジンです。