杉の葉

スギ(学名: Cryptomeria japonica)は、ヒノキ科スギ亜科スギ属で常緑針葉樹である。主に本州以南の山地に生え、広く植林されている。

スギの名の由来は、真直ぐの木「直木」から来ていると言われる(大和本草)。本居宣長は古事記伝神代七之巻にて、スギは傍らにはびこらず上へ進み上る木として「進木(ススギ)」が語源としており、「直木(スグキ)」は誤りであるとしている。漢字の「杉」は、日本ではスギのことを指すが、中国ではコウヨウザンのことを指す。中国では日本の杉の仲間を「柳杉」と呼ぶ。他にも「椙」の字の表記がある。「椙」はいわゆる国字であり、日本でしか通じない。太平洋側に産するものを「オモテスギ」、日本海側に産するものを「ウラスギ」と呼んで区別することがある

本種は単型であり、本種のみでスギ属 (Cryptomeria属) を形成する。科はヒノキ科に属する。ヒノキ科は中生代に登場した起源の古い植物群で、現在は日本のスギの他、アメリカ大陸のセコイア Sequoia sempervirens、中国のメタセコイア Metasequoia glyptostroboides、コウヨウザン Cunninghamia lanceolata などが遺存的に分布している。

代表的な針葉樹として分類的にスギに近縁ではないものまでスギと名付けられることがしばしば見られる。たとえばレバノンスギ (Cedrus libani)、ヒマラヤスギ (C. deodara)はスギの名前がついているもののヒノキ科ではなくマツ科に属する。また、バラ目のアズキナシをカタスギと呼ぶこともある。

香り成分:

杉の葉はみかんの皮のような柑橘系の香りがします。幹や枝は、針葉樹らしい松脂などの香りと近く、最も森林浴をしているときの香りに近い存在と言えます。

効果効能:

リラックス効果、抑うつ状態の改善、熟睡効果、アトピー性皮膚炎軽快に効果がありがん細胞の増殖を抑える可能性もあるかもしれないという研究がされています。

生育地:

本州(青森県)から四国、九州の屋久島まで分布し、主に山地に自生する。また北海道各地にも広く造林されていて、植林の北限は日本海沿岸の羽幌にある。古くから植林されており、日本の造林面積としては最も広い樹種である。沢沿いなど比較的水分と栄養分に富む環境を好む傾向があり、植林の際にも谷間はスギ、中腹はヒノキやサワラ、尾根筋はマツと植え分けられる。

堆積物中の花粉化石の調査結果によれば、日本列島は氷期にマツ類が卓越した時期を除けば、おおむねスギ林が分布していたことが判明している。特に気候が温暖化し始めた1万年前頃から伊豆半島周辺域や日本海側でスギ林が繁茂し始め、2000年 – 1500年前にはスギ花粉の出現率は70%を超えるほどの繁栄期を迎えていた

中国浙江省の天目山に分布するヤナギスギCryptomeria fortunei が日本のスギと同種であるという研究もある。スギの変種の一つカワイスギCryptomeria japonica var. sinensisともされる

第二次世界大戦以前には台湾と朝鮮半島で植林されていたが、戦後はアゾレス諸島、レユニオン島、インド、ネパールで植林が続けられており、主に木材や防風林として利用されている

文化的な重要性:

スギは本州各地における造林地ではヒノキ(Chamaecyparis obtusaヒノキ科ヒノキ属)、アカマツ(Pinus densiflora マツ科マツ属)、カラマツ(Larix kaempferi マツ科カラマツ属)と並んで主要な林業用の針葉樹であり、その中でも全国的に最も植えられている最重要の樹種である。造林の主な目的はその幹から製材される木材である。材が比較的軟らかく加工性に富むこと、幹が通直で歩留まりが良いこと、一定の腐朽に対する耐性があることなど様々な利点を持つ。また生態的にも温帯の気候になじみやすく、成長速度も比較的速いことも利点である。ただし、道南を除く北海道においては林業における主要な樹種はカラマツ、トドマツ(マツ科モミ属)、アカエゾマツ(マツ科トウヒ属)といったマツ科針葉樹や各種の落葉広葉樹となる。

象徴

各地の神社にはモミ(Abies firma マツ科)、イチイ(Taxus cuspidata、イチイ科)、クスノキ(Cinnamomum camphora クスノキ科)、イチョウ(Ginkgo biloba イチョウ科)などと並んでしばしばスギの巨木が存在する。場合によっては樹幹に注連縄を巻かれるなど神木として祀られているところもある。また、屋久島の山中には有名な縄文杉のほかいくつかの巨木が知られている。なお、屋久杉は樹齢7000年と推定されている。これは昔から屋久島の山々が霊山として怖れられ伐採されなかったことと、薩摩藩の資源保護という施策があったため、現在までの森林保護につながった

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